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case 01 「庭木が隣家に覆い被さるように伸びていた」




空家の持ち主:空家にしている持ち家にひさしぶりに帰ってみたら、
庭木が柵を越えて隣家に伸びていた。隣の方はこころよく思っていな
いらしい。落ち葉を掃除する手間をかけてしまっているし..。

空家管理業者:やっぱり、まずはちゃんと挨拶をすること。世間話を
して丁寧に付き合うことからやりましょう。ピアノのたどたどしい練
習の音も、顔見知りの子供が弾いているなら気にならないもの。その
うえで、伸びた庭木は切るなどの対処をして、「迷惑をかけたくない」
という誠意を示しましょう。自治会長のようなまとめ役の人物に「ト
ラブルの元になりそうなことがあれば連絡して欲しい」と伝えておく
のもよいでしょう。

行政書士:庭木がゆっくり成長していくのにちゃんと気づくのは、な
かなか大変ですよね。休みの日に様子を見に行っても、見るだけでは
気付かないようなこともたくさんありますし。丁寧なお付き合いをし
て、はみ出した庭木を切ってもらえるくらいの関係になれると理想的
だとわたしも思います。法律の話をしましょう。庭木が越境して伸び
た場合の家主の責任が、法律に明記されているわけではありません。
逆に、お隣から伸びてきた枝を勝手に切るのは法律違反です。地面の
下で越境する場合、つまり木の根は切ってしまっても法的な責任は問
われません。タケノコも同じです。ちょっと意外ですよね。ただし、
庭木が折れてお隣の建物を損傷するなどの損害を与えると、賠償責任
が生じる場合があります。






case 02 「景観の悪化」




空家の持ち主:同じ町内に、ところどころ壊れて幽霊屋敷のようにな
っている空家が。ちょっと怖いというか、あまり近づきたくない雰囲
気。持ち主はきっと気付いていないけど、この家が原因で地域の雰囲
気が悪くなっているとしたら、迷惑だよな..。

空家管理業者:家を修理したり取り壊したりするには、大きな費用が
かかります。こまめに訪れてチェックをして、傷みが大きくならない
うちに修理が出来ればいいですね。空家を訪れたら、最低限の掃除や
通風も。忙しい生活をしていると、後回しにしてしまいがちですが。

行政書士建物を取り壊すことで、税金が高くなる(更地にすると固定資
産税の減免がなくなる)場合もあります。税金にしても修理費用にして
も、出費を最小限に抑えるためには早めに対処をするのがやっぱり一
番です。







case 03 「いたずら、放火」




空家の持ち主:空家にしている持ち家に、だれかが侵入した形跡がある。盗
られて困るようなものはないけれども、生ゴミを放置されたり、火の不始
末があったりと考えると不安。「空家に放火」というニュースを見たこと
もあるし、鍵をしっかりかけていてもやっぱり不安..。

空家管理業者:だれも住んでいない家に侵入するのは、意外とたやすいも
のです。とくに古い家だと床下や天井裏など、持ち主が気付いていないス
キマなどもかならずあります。侵入を防ぐという発想だけではなく、郵便
受けを時々カラにしておくなど「だれかが時々立ち寄っている」という雰
囲気を作っておくのが効果アリです。

行政書士:わたしは法律家なのでカタい法律の話をしますが(笑)、まず不
法侵入は犯罪です。侵入された事実を証明出来れば警察に相談することも
可能です。でも警察や行政に頼んで時々見回ってもらう、というのは現実
には不可能。万一、侵入者のいたずらや不始末、放火によって火事が起こ
ってしまった場合にも、「失火法」と呼ばれる法律があって、出火した家
の持ち主がすべての法的責任を負うことは避けられますが、だからといっ
て、社会的責任上、火事を出してかまわないということには決してなりま
せん。







case 04 「不法投棄」




空家の持ち主:ウチの庭に、覚えのないゴミの山が!

空家管理業者:家の持ち主には何の責任もありませんが、クルマを寄せや
すい、外から見られにくい、明らかに長期間人が住んでいないなど、ゴミ
を捨てやすい空家というのは実際にあります。一度だれかが捨てると、そ
れを見てほかの人も捨てに来たり、家の持ち主が片付けても、留守の間に
また捨てられたりと、やっかいなケースになりがちです。「小さな鳥居」
を立てたら解決した、という話は聞いたことがありますが..。

行政書士:不法投棄は法律違反ですから、犯人を特定出来れば警察などの
取締を期待出来ますが「いつ捨てられたかも分からない」という状況では
なかなかそれも難しそうです。ゴミが大量であれば、片付けるのにも、侵
入を防ぐために柵を設置するのにも大きな費用がかかってしまいますよね。







case 05 「動物の住みつき」




空家の持ち主:自然が豊かな場所にあるので、イタチが住みついてし
まって、ニオイがすごい。エサにした小動物の骨も部屋に転がってい
たりして、不気味。

空家管理業者:とくに古い家の場合、スキマを全部ふさぐのは大変。
忌避剤(小動物の嫌いな匂いの薬品等)を置いたり、電気を使えるなら
超音波を出す機械をセットするなどの方法もあります。どちらも定期
的に様子を見に行く必要はありますが。

行政書士:動物が相手だと法律は持ち出せませんが(笑)、たとえば、
ホームレスの人が住みついてしまったり、というトラブルも耳にした
ことがあります。やっぱり「時々、人が出入りしている」という雰囲
気があることが一番の解決方法ですね。








case 06 「瓦が落ちて、通行人に怪我をさせてしまった」




空家の持ち主:知らないうちに屋根が古くなっていて、瓦が道に落ち
たんです。運悪くたまたま歩いていた方にそれが当たり、怪我をさせ
てしまった。

空家管理業者:それは大変。怪我をされた方への賠償だけでなく、ご
近所との関係も崩れかねません。同じことが起こらないように、すぐ
に危ない箇所を修理して、怪我をされた方だけでなく、ご近所や自治
会長などにも丁寧に説明されることをお勧めします。

行政書士:この場合、完全に家の持ち主に法的な責任があります。歩
行者にたまたま当たるというのは珍しいケースだとしても、停まって
いるクルマにキズを付けたり、道に落ちているだけでも事故の原因に
なったり、ということがあり得ます。








case 07 「空家を賃貸に」




空家の持ち主:わたしの友人のハナシですが、引越しをして古い家を
出る時に、運良く知り合いの紹介で「住みたい」という人があらわれ
て、賃貸の契約を交わして住んでもらっているそうです。人に住んで
もらうと、家が傷まないし、家賃収入があるのはとても助かるとのこ
と。

空家管理業者:賃貸にして人が住んでくれるとさまざまなトラブルを
防ぐことが出来ますね。しかしタイミング良く住んでくれる人が見つ
かるのは、めずらしいケースです。不動産業者を介して探すと比較的
早く見つかることが多いのですが。実際、住まなくなってかなり年月
が経ってから「売りたい」「貸したい」というご相談を不動産業者に
持ち込まれる方が多いのですが、空家の期間が長いと、売るにも貸す
にも修繕費が発生してしまいます。その費用を抑えるためにも「売る」
「貸す」のご相談は、早めになさってください。「お金が必要になっ
たから売りに出す」よりも「早めに募集を始めてじっくり待つ」ほう
が良い結果につながります。

行政書士:わたしの知り合いにもそうやって古民家に住んでいる若い
夫婦がいます。空家になってすぐに入居することが出来たので、大家
さんの出費は畳を新しくする費用だけだったそうです。








case 08 「農地付き物件」




空家の持ち主:兼業農家だったので、古い母屋と大きい納屋と畑が全
部そのまま残っています。農業をするためにまとめて買ってくれる人
がいれば、売ることも考えたいんだけど..。そういう人は既に自分の
家と農地を持ってるしなあ。

空家管理業者:意外に需要があるようですよ。自然食レストランに無
農薬野菜を卸す会社が同じような物件を買ったという話も聞いたこと
があります。

行政書士:農業を仕事にしている人や、農業の経験がある人を探すの
ではなくて、自分の畑を持って静かに隠居生活を、と考えている層を
ねらうのも良さそうですね。







case 09 「相続をしようと思ったら、権利者がたくさん!」




空家の持ち主:肉親が亡くなり、喪が明けて、相続の手続きをするこ
とになったのですが、調べてみると相続の権利者が思ったよりもたく
さんいることが分かりました。会ったこともない遠い親戚に連絡を取
って、事情を説明して書類にハンコをもらって.. 途方もない作業で、
めまいがしそうです。わたしの場合は、それでも全員の居場所が分か
るからマシなほうで、行方知れずの権利者がいると相続の手続きがス
トップしてしまうというハナシも聞いたことがあります。

行政書士:決してめずらしくないケースです。行方が分からないとか
、長い間音信不通だからといって、相続の権利がある人を無視して相
続の手続きを行うことは出来ません。権利者が相続を放棄出来るのは、
亡くなったことを知ってから3ヶ月以内、という法律もあります。

空家管理業者:不動産を均等に分割して相続するために、思い入れの
ある家を泣く泣く売却した、というケースもあります。肉親に、生前
に遺言を書いてもらうことが出来れば一番よいのですが、それが難し
い場合は、兄弟や親戚などの相続権利者全員で、現金はだれ、不動産
はだれ、というように「分け方」を決めておくというのも良いアイデ
ィアです。

行政書士:法律のプロには「生前にこれをやっておけばトラブルを防
げる」というアイディアがいくつもあります。生前に私のような法律
の専門家に相談することが、なによりもおすすめです。









-本音トーク 座談会-




空家の持ち主:「空家だからほっておいてかまわない。だんだん傷む
だろうけど、しかたない」となにもしないでいるのは、やっぱりマズ
いようですね。

空家管理業者:本当にそうだと思います。ご近所との良い関係を続け
るのも、空家が周囲の方に迷惑をかけていないということが前提です
から。一度トラブルが起こると、せっかく築いた良好な関係も簡単に
崩れてしまいます。

空家の持ち主:もしご近所とトラブルになったら、どうするのが一番
いいですか?

空家管理業者:まずトラブルの原因を解決することです。瓦が落ちて
しまったのなら屋根を修理し、庭木が伸びたのならちゃんと切る、と
いったことです。次に自治会長のような、地域のまとめ役に事情を話
して、全体を見渡せる立場からアドバイスをもらったり、場合によっ
ては仲介をお願いすることも可能です。それでも解決しない場合は..

行政書士:まずは行政に相談してみましょう。
ただ、実際にトラブルの処理をしてくれることはあまり期待出来ない
でしょう。その次には地域の無料法律相談や、行政書士に相談するこ
とになります。法的にどういう手が打てるのかアドバイスしてくれま
す。行政書士の相談費用はたとえば1時間五千円、弁護士だとその二
倍程度でしょうか。調停の代理人をプロに依頼する場合、司法書士と
いう選択肢もあります。

空家の持ち主:なるほど。その後は裁判、ですか?

行政書士:警察絡みでなければ、民事裁判を起こすことになります。
でも弁護士への報酬など、裁判にはかなり費用がかかるので、あまり
現実的ではありません。裁判費用自体は数千円程度からですが。

空家の持ち主:ふうん、やっぱりトラブルが起きる前に、管理をちゃ
んとやっておくのが得策ですね。わたしの実家のある地方都市では、
都会に出て行ってしまった人の空家が、とても目立ちます。空家が少
しずつ朽ちていくのを見るのはツラいですよね。

空家管理業者:わたしは元々、地方都市で不動産の売買や賃貸を仕事
にしている不動産業者です。 需要があるので、同じ会社の業務とし
て、空家の管理をやっています。この仕事をしていて本音で感じるの
は「空家の期間は短ければ短いほど良い」ということです。ケース例
にもありましたが、空家になってすぐに売買や賃貸のご相談をしに来
てくれる持ち主の方はなかなかいません。ある程度年月が経って、高
額の修理費用が必要になってからご相談を受けることが多いのです。

行政書士:そうみたいですね。ただ、家の持ち主の方にもいろいろな
事情があります。たとえば「また住むかもしれないから手放したくな
い」「相続の話が決着していないから、売るに売れない」というよう
な。

空家の持ち主:まったくその通りですね。「家を手放してしまうと、
都市で一緒に住んでいる高齢の両親が悲しむ」というようなケースも。
空家管理の仕事をされていると、いろいろなトラブルを目にすること
もあるんじゃないですか?

空家管理業者:そうですね。わたしたちの仕事は、空家を定期的に見
回ってさまざまなトラブルにすぐ対処することです。雨漏り、シロア
リ、ゴミの不法投棄など、どれも、気付かずに放置しておくと大変な
ことになります。安い費用でプロがチェックしますから、人気のある
サービスです。

空家の持ち主:空家管理をお願いして、同時に「買いたいとか借りた
い、という人がいたら紹介して欲しい」と頼んでおくことも出来ます
か?

空家管理業者:空家管理と不動産業をどちらも手がけている業者なら
可能です。管理をしながらじっくり腰を据えてチャンスを待つのはと
ても良い考えです。なにより、放置することで価値が下がったり、修
繕費用がふくれあがったり、ということを防げることが最大のメリッ
トです。

空家の持ち主、行政書士:なるほど、説得力がありますね。











-登場人物モデル紹介-








※この冊子に登場するキャラクターは、兵庫県丹波市で実際に働く人たちをモデルに作られました。



空家管理業者=青木 弘守

株式会社アクティブライフ・コネクション代表。
丹波市出身。不動産業務と同時に空家管理のビジネスを行っています。


行政書士=柳 真紀

2007年に行政書士資格を取得。
丹波市出身。不動産関連の知識も豊富で、よく相談事をもちかけられる。


アクティブライフ・コネクションとは..

兵庫県丹波市の空家管理・不動産取扱業者。地元出身の社長が大活躍中。
住所:兵庫県丹波市柏原町田路26-1
電話:0795(70)1300
URL:http://activelifeconnection.com









-空家管理業者の業務内容例-




サービス内容:

・定期的に空家を訪問
・通風・換気
・施錠確認
・清掃
・雨漏りチェック
・郵送物の転送
・報告書の作成(文書や写真でお家の状況を報告)
・その他、さまざまなトラブルに対応


料金:

・月額3,000円〜

不動産取扱業者による管理サービスです。
売却、査定、相続、更地化など、さまざまなご相談に応じます。



※上記例は、株式会社アクティブライフ・コネクションのものです。









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